おしゃべりのようなもの

記録と記憶です。

【映像上映・パフォーマンス】悟空〜冒険の幕開け〜

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世田谷パブリックシアター

本日、福岡の大千秋楽も迎えることと思うので書き残そうと思います。

(今回はパフォーマンス部分にフォーカスを)


真ん中に固まる肌色の塊。

あれはなんだろう?人?

綺麗な台形は本当に人に見えなくて、シルホイールのガタッという音で動き出すまで、異質な、でも体温を放つ不思議な塊に、私は魅了された。

 

映像上映(FOCA)の悟空でも、白い丸の中に人が入り軟体、アクロ、様々な動きを織り交ぜて人が蠢いていた。それを思い出すようなパフォーマンスではあったけど、目黒作品の人の動きは、全て音楽や空気、モノの動きがきっかけで人が動く、そんな全てに「意味のある動き」に思えて、私はそれが好きだと思った。

 

油布さんのシルホイールを初めて見た。正確には油布さんのパフォーマンスを初めて見た。圧巻だった。力強さと美しさ、技の安定性(私、シルホイール全然観たことないのにすみません)、どれも驚いてしまった。また必ず観たい。

 

亜希さん。Coucouで初めて拝見し、その作品の世界観と動きの美しさに惹かれた。そのときはテキストから作品が作り上げられるという不思議なもので、美術も観たことがない造形美(あれ大好き!)で、とても好きな作品だった。奥行きが豊かな作品で、空間をころころと動き回ったり静止したり寝転んだりぶら下がったり。目線も仕草も好きで、また観たいなって思った。

あこさん。あこさんは、昨日の手触りの案内人、こころの手触り、そして、ひとり、ひとり。いろんなあこさんを見た。あこさんはどの作品でも見せる顔が違って、どこか中性的で、こどもやモノ、赤ちゃん、母親、友達…いろんなものを映し出してくれる。私は主に目黒作品でのあこさんを観ることが多いけれど、映像作品「或る椅子の、つぶやき」のあこさんも大好きだった。(或る椅子と、ワルツ好き!)あこさんの「踊りたい」って心がどの作品を見ても伝わってくる。踊りが好きで、これまで真摯に向き合ってきたことが伝わってくる。エアリアルをするあこさんも好き。デザインを作るあこさんも好き。アクセサリーや刺繍に取り組むあこさんも好き。好きなものに取り組んでいるあこさんが好き!そして、作品でみせる無表情も好き。

 

今回の悟空では、亜希さんとあこさんの二人のシーンがある。エアリアルと踊りをする二人ならではの演目。奥行きが豊かなパブリックシアターで、布というひとつの長い繋がりを二人で操る。布を身に纏う。登る。回る。布から対角線上に離れた場所で踊る。離れていてもどこか繋がっている。モノを介して動きを魅せる目黒作品ならではの感覚かなと思う。その二人の繋がりが美しかった。二人のシーン、本当に綺麗だった。

今回は映像配信でも使われていたようにエアリアルの上げ下げを劇中で行っていた。それによりできることの範囲が広がっていて、あ、あの装置すごいなと思った(綺麗だし、楽しい)。もっと上げ下げ装置使った作品が見たいな。(危険も伴うと思うので抜群の稽古・本番の環境が整ったらいいなぁ)

 

そして今回の音楽。ピアノ、パーカッション、ヴァイオリン、チェロ、クラ。めちゃくちゃ好きな編成。イーガルさんの作るオケ(室内楽)作品好きだなぁ。目黒さんとのタックは何年なんだろう。あまりにお互いを知り尽くしていて。お互いに合わせつつ、好きなことをして、あんなに合わさるのはなんなんでしょう。音楽も作品も作ることって容易じゃなくて、生み出すのは大変なことなのに。

 

 

今回の演目で好きだった箇所がある。亜希さんがエアリアルで上からくるくるっと高速で落ちてくる技(名前がわからずすみません)。そのとき、無音なところが好きだった。

 

技をみせるパフォーマンスなのか、人をみせるパフォーマンスなのか。

私は後者が好き。大技も、その技の凄さも、その演者のもつ魅力のただひとつ。演者をより美しくみせる目黒作品が好きだし、演者の方々の見せてくださる人間美が私は好き。そして、作品を美しく魅せるイーガルさんの音楽が好き。

亜希さん、あこさん、油布さん、お疲れ様でした。本当に素敵でした。また観たいです。

 

そして、このご時世で様々なことがある中で、まずは大千秋楽まで終わったこと。本当にお疲れ様でした。

早く世界が落ち着きますように。

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