おしゃべりのようなもの

記録と記憶です。

ながめくらしつ「…の手触り」〜日常の手触り〜 at CouCou

日常の手触りの再演を観ました。

とても良かった。

2台ピアノのミニマルミュージックに、ジャグラーが2人。2月の沼津での公演と同じメンバーでの再演。

沼津では1回だった公演ですが、今回は2日間にわたり、きっちりと2回(しかも別方向から)見られたことで、より好きな動きや愛おしい箇所がたくさん増えたような気がします。

 

好きな箇所はいくつもあります。

全てあげると、マニアックになってしまうけど。

(1回目の椅子を並べてやるシーン。その最後のバシッとボールキャッチ、からの余韻。佑理さんがボールの上でバランスを取るところ。二人羽織とそのあと。各所のユニゾン。目黒さんのソロ、少し笑みを浮かべながら動き回るジャグラーたち…AZUMIさんをみるイーガルさんの目、AZUMIさんの跳ね上がる手、キラキラした3連符、メインテーマに戻るときの空気感、目黒ソロのメロディー、一番最後のイーガルさんの音…などなど)

 

冒頭にたった1回のボールのパス。座ったまま投げ上げるボール。様々な変化。

それぞれの人の動きとボールの軌道が、次はどこへ行くのかなと、ただただ目が離せなくなります。

2台のピアノが混ざり組み合わさり変化を続けていく。

誰も同じことをしないのに、同じ作品の中で絡み合う。

パフォーマーの方々にとっての日常は、いまだに完全には戻ってきていませんし、観る私たちにとっても戻ってきていません。

 

好きなものを、好きなところへ行って観る。

「来てください!」「行きます!」

「観てください!」「観ました!」

そんな言葉が自然に交わせない世の中です。

 

マスクをしていなかった頃のこと、だんだんと思い出せなくなり、大きな声で笑いながら集まったその頃のことを、懐かしく思うようになりました。

会いたい人に会えない理由が、距離なのか、タイミングなのか、時世によるものなのか、ウイルスなのか。守りたいからなのか、突き放したいからなのか。本当の理由も見えなくなってきました。

一人でいるとほっとする瞬間と、人といるとほっとする瞬間が入り混じります。

 

そんなざわざわした心持ちでも、つくる人はつくり続けてくれて、作品を生み出してくれます。

そんなざわざわした情勢でも、美しい作品が、確かにここに在ります。

 

「現代サーカスには『問い』がある」ときいてから、作品を観た後、自分のこころの動きに正直になるようになりました。

 

ジャグリングの美しさ、おもしろさ、

音楽の美しさ、おもしろさ、

夢中になって見入ってしまうこの作品がとても好きです。

そして、日常の手触りを観てから、少しだけ悲しくなり、涙が溢れる瞬間があります。

 

その理由を探しながら、あと98公演、見届けられますように(笑)

 

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このような機会をくださった出演者、企画・制作の皆さま、会場のCouCou酒井さん、本当にありがとうございます。

 

そして、この素晴らしい作品をつくった目黒さん、素晴らしい曲をかいたイーガルさん、ありがとうございます。

お二人の使命感・天職ともいえるこれらの”仕事”が、祈りとともに、この先もずっと残り、多くの人の目に届きますように。